橋の種類ごとの特徴についてまとめました。
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
●桁橋の概要
・こちら側と向こう側に二つの支持台を設置し、その間に「桁」を置くという単純な構造で、ガーダー橋 (Girder bridge)ともいう。
・長い桁橋では橋脚を多く立ててつないでいく。
・他の形式と比べると、強度を保つために材料が多くなり、橋脚を余計に必要とする。そのため大型の橋には適さない。
・橋脚を建てづらい中央部ではトラスやアーチなど別の構造を採用して支間を長く取り、橋脚を建てやすい周辺部では単純桁橋を連ねる構造の橋も多い。
・現在では、鋼やコンクリート、これらを組み合わせた桁を橋脚が支えている。
●桁橋の材料
・桁橋では「曲げ」によるたわみが発生し、主桁内部の上側に圧縮応力が発生、下側に引張応力が発生するので、この力に対応した材料選定が必要。
・木は加工が簡単な反面耐久性に劣り、石材は丈夫だが引張力に劣る欠点を持っている。
・コンクリートも石と同じ性質だが、鉄筋を埋め込んだ鉄筋コンクリートや鋼ワイヤーを組み合わせたプレストレス・コンクリートが開発され、主流となっている。
・鋼は圧縮と引張りに対して強く、強度も数倍から数十倍も大きいことから桁の材料として最も広く利用されている。
・一般にコンクリートや鋼の桁の断面はI型や箱形で、川崎・木更津を結ぶ東京湾アクアラインの橋梁部や、日本最大の250mのスパンを持つ大阪のなみはや大橋は箱桁型を採用している。
●トラス橋の概要
・桁部分にトラス構造を使った橋。トラスは細長い部材を両端で三角形に繋いだ構造でありそれを繰り返して桁を構成する。
・トラス形式では、最長で500m位までの長さを途中で支えることなしに渡すことができる。山間部や港の横断に連続トラスが採用されてきた。
・日本では、明治初年から鉄道橋としてのトラス橋が建設された。
・今日でもトラス橋は、アーチ橋と並んで広く採用される一般的な構造形式となっている。
●トラス橋の原理
・三角形は三つの辺の長さが決まると形が決まり、安定した構造が得られる。
柱と梁で出来た四角形の中に筋交いを入れ、三角形の組み合わせにすることで丈夫になる。
この構造をトラス構造と呼び、このトラス構造を組み合わせて造る橋をトラス橋と呼ぶ。
・トラス構造は、材料に曲げの力がほとんどかからず、引張力と圧縮力のみになるので、安定で丈夫なものとなる。
曲げの力を考えない分、計算が単純化されるのもメリット。
ただし、トラスには細い部材が使用されるので、三角形の上部からの圧縮力kが強くかかるとつぶれやすい(座屈、バックリング)という欠点もある。
・実際に用いられているトラス構造には部材の組み方によって色々な種類がある(ワーレントラス、プラットトラス、ハウトラス等)。
・トラス構造は軽くて丈夫なため、支間の比較的大きな橋に用いられるが、橋以外でも建物の柱や屋根、鉄塔等、様々な建造物に用いられている。代表的なものには東京タワーがある。
●アーチ橋の概要
・弓なりのアーチ部材を使って荷重を支える橋の形式。
・古代から石を積み上げた石橋などが無数につくられ、今でも世界中で使われ続けている。
・材料は、石材やレンガが多く用いられていたが、近代では鋼製やコンクリート製、鋼とコンクリートを組み合わせなどでつくられている。
●アーチ橋の原理、特徴
・外部と自重により作用する下向きの荷重が、アーチ部材の内部において圧縮力に変換され両端の支点へ伝達される。
・一般的な桁橋では”曲げ”によるたわみが発生し、主桁内部では上側に圧縮応力、下側に引張応力が発生するのに対し、アーチ橋ではほぼ断面内に一様な圧縮応力だけを発生する。
・アーチ橋に荷重が作用すると、アーチ部材が外に開こうとする挙動を示し、支点部には水平方向の力が発生する。長大なアーチ橋では、この水平力も大きなものとなるため、強固な基礎を設けるなどの対策が必要。
●通行位置による分類
アーチ橋は、弓なりとなった形状なので、その上に人や車を渡すのは困難であり、アーチ部材とは別に平坦な路面が必要。
①充腹式上路アーチ橋
・石材の場合の主流。
・アーチの上に別途路面を設け、アーチと路面の間に材料が隙間なく敷き詰められている。
②開腹式上路アーチ橋
・鋼やコンクリートを用いれば充腹構造としなくても、アーチの上に柱を立て路面(床版・補剛桁)を設けることが可能となった。
・橋体を軽量化することにより、アーチ橋の長大化を可能とした。
・アーチ橋に荷重が作用すると、その特性からアーチ部材が外側に開こうする力が生じるため、長大な上路アーチ橋ではその力に耐えるだけの強固な岩盤が必要となる。
③下路アーチ橋
・鋼橋を中心とし、現代のアーチ橋の主流。
・アーチを路面より上に架け渡し、アーチ部材より路面(床組・補剛桁)を吊る構造。
・弓のように支点部同士を引張部材(タイ)で結び、水平力を伝達させる、タイドアーチ形式とする事ができる。この形式では、水平力は橋内部に閉じこめられるため、支点部に水平力は発生しない。したがって、支点部に大きな力は作用しないため強固な基礎は必要とせず、地盤の軟弱な都市部などでの長大アーチ橋架構を可能にしている。
④中路アーチ橋
開腹式上路アーチ橋と下路アーチ橋の中間の構造。
●吊橋の概要
・吊橋とは、塔の間を渡るメインケーブルから垂らしたハンガーロープで橋桁を吊り、引張力で支える構造の橋。
・吊橋は、橋の中でも最も長い距離の橋を架けることができる構造。
●吊橋の原理
・斜張橋と似た構造だが、斜張橋が塔と橋桁とが直接ケーブルで吊っているのに対し、吊橋は、塔の間を渡したメインケーブルがあり、そこから垂らしたハンガーロープで橋桁を吊っている点が異なる。
・メインケーブルは、塔を通じて橋の両端にある「アンカレッジ」と呼ばれる重りに、つなぎ留められている。
●斜張橋(しゃちょうきょう)の概要
・斜張橋とは、橋桁を塔から斜めに張られた複数のケーブルで吊り、引張力で支える構造の橋です。
・桁橋、トラス橋、アーチ橋に比べると、斜張橋は長い距離の橋を架けることができるのが特長。
・塔からケーブルで橋桁を直接吊るという構造上、長い橋を架けるためには、それだけ高い塔が必要となる。
●斜張橋の原理、吊橋との相違
・吊橋は塔の間にまず渡したメインケーブルがありそこから垂らしたハンガーロープで桁を吊っているのに対し、斜張橋は塔と桁をケーブルで直結している。
吊橋ののようにメインケーブルを用いないので、メインケーブルを両岸で留めるアンカレイジは不要。
・桁に掛かる力は、吊り橋では垂直方向の張力だけだが、斜張橋では垂直方向の張力に加えて橋軸方向の圧縮力が作用する。
・同じスパンの場合、塔の高さは斜張橋の方がやや高くする必要がある。
●沈下橋の概要
・増水時に水面下に沈んでしまう橋の事をいう。潜水橋、潜り橋、冠水橋、流れ橋、沈み橋とも呼ばれる。
・沈下橋は、低い位置に架橋されることや、架橋長が短くできることから、低廉な費用で作ることができるというメリットを持つ反面、増水時には橋として機能しなくなるという欠点を持つ。
・増水時に土砂や流木で橋が破壊されたり、流れを妨げないようにするため、橋の上に欄干や防護柵がない場合が多く、自動車等の転落危険性がある。