屋上の露出アスファルト防水、10年の保証期間を経過後、どれくらいの期間まで使用できるのか、判断に困る場合が何度かありました。
定期的に実施している屋上防水の点検結果で部分的なひび割れやはく離について指摘があり、修繕を勧められましたが、部分補修で良いのか、それとも新たに全面的に防水層を形成した方が良いのか。
アスファルト防水層の耐用年数は一般的にどれくらいなのか調べてみました。
※参考資料
田島ルーフィング『長寿命化改修のための躯体改修・防水改修ガイド』
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
標準的な耐用年数は?
●”標準耐用年数”とは
・標準的な仕様で、標準的な地域で施工された耐用年数。
・一般的条件の下での施工により形成される防水層自身の寿命としての目安。
●第二総プロ(2013建築研究所)のリファレンスサービスライフ
・アスファルト保護防水:20年
・露出防水(アスファルト、改質アスファルト、シート防水、ウレタン塗膜防水):15年
・標準的な仕様で、標準的な地域で施工された耐用年数。
・一般的条件の下での施工により形成される防水層自身の寿命としての目安。
●第二総プロ(2013建築研究所)のリファレンスサービスライフ
・アスファルト保護防水:20年
・露出防水(アスファルト、改質アスファルト、シート防水、ウレタン塗膜防水):15年
田島ルーフィングの研究による耐用年数
〇サンプル
・サンプル数:1,300超
・実際の現場から経年防水層を採取し、分析試験を行った。
〇評価方法
・アスファルトの針入度(アスファルトのかたさを示す指標。劣化でかたくなると針入度の値が小さくなる)で評価。
・アスファルトの針入度に応じて”劣化度区分”を計算し、以下のように判定
・サンプル数:1,300超
・実際の現場から経年防水層を採取し、分析試験を行った。
〇評価方法
・アスファルトの針入度(アスファルトのかたさを示す指標。劣化でかたくなると針入度の値が小さくなる)で評価。
・アスファルトの針入度に応じて”劣化度区分”を計算し、以下のように判定
劣化度 | 判定基準 | 漏水時の処置 |
---|---|---|
3 | 余命なし(耐用限界超過) | 即時全面改修 |
2 | 余命なし(耐用限界にある) | 応急処置後全面改修 |
1 | やや余命あり | 部分補修で短期延命 |
0 | 十分余命あり | 部分補修で中期延命 |
〇”耐用年数”の定義
・耐用年数=劣化度1.5に達する経年数
〇評価結果から導き出した”耐用年数”
・”耐用年数”は防水仕様のグレード等により年数に幅を生じる。
・評価結果から導き出したアスファルト露出防水の”耐用年数”の幅:19~29年
部分補修で延命できる経年数は?
上記”耐用年数”は、余命がない状態なので、この段階まで劣化してしまうと全面改修を実施する必要があります。
冒頭で述べたように部分補修で対応可能なのか全面改修をする必要があるのか、判断に困る場合があります。部分補修か可能な状態である劣化度1に達する経年数を参考資料のグラフから読み取ってみました。
・劣化度1に達する経年数の幅:14~22年
上記結果によると最短でも14年間は部分補修が可能な状態なので、保証が切れた10年超から14年目ぐらいに部分的にはく離が生じた程度の場合は、部分補修による対応が可能と判断できそうです。
もう少し経過した段階の場合でも実際に針入度を測定して劣化度が1以下であれば部分補修で対応可能なのかもしれません。
冒頭で述べたように部分補修で対応可能なのか全面改修をする必要があるのか、判断に困る場合があります。部分補修か可能な状態である劣化度1に達する経年数を参考資料のグラフから読み取ってみました。
・劣化度1に達する経年数の幅:14~22年
上記結果によると最短でも14年間は部分補修が可能な状態なので、保証が切れた10年超から14年目ぐらいに部分的にはく離が生じた程度の場合は、部分補修による対応が可能と判断できそうです。
もう少し経過した段階の場合でも実際に針入度を測定して劣化度が1以下であれば部分補修で対応可能なのかもしれません。