ワンルームマンション専業大家コツコツ日記

マンション建物管理会社に支払う管理委託費、戸数による影響は?

マンションの総戸数が少ないと管理費と修繕積立金が割高になる傾向があります。
管理組合の管理費会計の支出においては、管理会社に支払う管理委託費が大きな割合を占めています。
 
マンションの総戸数によって管理委託費が定量的にどのようになるのか気になるところですが、管理委託費の概算費用をシミュレーションできるページを見つけました。
「テキカン」シミュレーション入力ページ|ダイアグノシス株式会社

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
  1. 管理委託費と総戸数の関係は?
  2. 総戸数が20戸だと管理費がかなり割高?
  3. 総戸数が多い割には月額管理費が安くない?

管理委託費と総戸数の関係は?

投資用マンションにおいては、戸数が100戸未満ではエレベータの台数は1台で、それ以外の共用部設備も大きな差はないと思います。
 
以下の条件でシミュレーションを実施し、総戸数による影響を調べてみました。
 
●シミュレーション条件
・階数:5
・築年数:10
・管理員勤務時間:0(常駐の管理員はいない、という想定)
・日常清掃員勤務時間:8(1日2時間×週4日)
・エレベータ台数:1
・貯水槽の有無:なし
・機械式駐車場:なし
 
●シミュレーション結果(管理委託費の月額費用)
項目 20戸 40戸 60戸 80戸
事務管理費 30,000 60,000 78,000 104,000
日常清掃 51,600 51,600 51,600 51,600
ELV保守 25,000 25,000 25,000 25,000
消防点検 6,667 13,333 17,500 23,333
機械警備
緊急対応
25,000 25,000 25,000 25,000
月額合計
(税込)
152,093 192,427 216,810 251,827
戸当り費用 7,605 4,811 3,614 3,148

上記シミュレーション結果を見ると、戸数80戸ぐらいまでだと日常清掃、ELV保守費用、機械警備費用は総戸数によらず一定としているので、総戸数が少ないと一戸当たりの負担が大きくなり、戸当りの月額費用がかなり大きくなっていることが分かります。

総戸数が20戸だと管理費がかなり割高?

上記シミュレーション結果だと総戸数が20戸の場合、管理委託費だけで月額7,605円になってしまっています。管理組合の管理費会計支出は、管理委託費以外にも電気・水道、マンション保険、修繕費等もありますので、オーナーが支払う月額管理費用は1万円を超えてしまいそうです。
 
ただ、実際には総戸数が少なくても管理費が1万円を超えていない場合も多いです。
 
総戸数が少なくてもエレベータがない場合や日常清掃を1日2時間の固定時間ではなく、巡回清掃などにして経費節減している場合もあります。
 
以下の条件でシミュレーションしてみました。
①日常清掃を巡回清掃とした場合(ここでは、1日1時間、週4日として計算)
②エレベータをなしとした場合
③巡回清掃で、かつ、エレベータなし
 
仕様           戸当り月額費用
ELVあり、日常清掃8h    7,605円
ELVなし、日常清掃8h    6,230円
ELVあり、巡回清掃     6,180円
ELVなし、巡回清掃     4,811円
 
上記シミュレーション結果によると、戸数が20戸でも日常清掃は巡回清掃などにして節減していて、エレベータがないマンションであれば、戸数40戸の管理委託費と同程度となります。
 
エレベータありで総戸数が少ない割には月額管理費用がそれほど高くない場合もありますが、その場合であっても管理費会計の余剰が少なく、管理費会計の余剰を修繕積立金会計に振り替えるといったことができず、修繕積立金会計も厳しくなると思われますので、注意が必要かと思います。

総戸数が多い割には月額管理費が安くない?

逆に、総戸数が80戸と多い場合、戸当りの月額管理委託費は3,148円とかなり低くなっています。
 
しかし、総戸数が多い割には月額の管理費はそれほど安くなっていない場合もあります。
 
●日常清掃の時間が多くすると?
 
総戸数が多い場合は、日常清掃の時間・日数が多くなっている場合もありますので、日常清掃の時間を変えてシミュレーションしました。
 
日常清掃     戸当り月額費用
2h×週4日=8h    3,148円
3h×週4日=12h    3,503円
3h×週6日=18h    4,035円
 
日常清掃の時間をかなり増やしてみたのですが、戸当りの月額費用においてはそれほど増加していません。総戸数が多いと効率的に管理できることが分かります。
 
●総戸数が多いと管理費会計の余剰金が多い?
 
総戸数が多い割に、月額の管理費がそれほど低くなっていない場合、管理費会計の余剰金が多く、余剰金を修繕積立金に振り替えている、といった運用をしている可能性もあります。
 
投資用ワンルームマンションデベロッパーとしては、総戸数によって月額管理費用を変えてしまうと総戸数の少ないマンションを売りにくくなってしまうので、総戸数が多いマンションの場合も月額管理費用は下げず高く設定し、余剰金を積立金に回しているのかもしれません。
 
総戸数の少ないマンションは、管理仕様に変更による支出削減余地が少なく・管理費会計の余剰が少ないことが予想されますが、総戸数の多いマンションは現状に仕様によっては管理仕様変更による削減余地も期待できますので、今後の管理費・修繕積立金の値上げリスクは、総戸数が多いマンションの方が少ないかもしれません。
 
中古マンションを選定する際には、現状の月額管理費・修繕積立金だけでなく、会計資料の状況や修繕履歴も確認し、総合的に判断する必要がありそうです。

モバイルバージョンを終了