マンションの外壁は塗装仕上げとなっていますが、斜壁部分は雨漏りのリスクがあるため、塗装ではなく、防水として施工すべきだ、という話を聞いたことがあります。
斜壁タイルの塗装、防水についてまとめてみました。
(1)垂直壁と比べて斜壁が傷みやすい要因
①紫外線・降雨の影響
・塗膜劣化の要因である紫外線をまともに受ける。
・降雨が強く当たる。
・日光によって表面温度の上昇の度合いが大きい。
・滞留しやすいため腐食物質があると劣化が進む。
②躯体の動きが大きくひび割れが発生しやすい
③汚れやすい
・斜壁は汚れが溜まりやすい。この汚れが降雨により流され、垂直壁に雨筋状の汚れをつけてしまうことがある。
④タイル目地の痩せ、欠け
・垂直壁よりも斜壁の方がタイル目地が痩せやすい。
・目地が痩せてしまったり欠けてしまうと水を吸い込みやすくなり、タイル下の下地にひび割れがある場合に雨漏りしてしまう。
(2)浸透性吸水防止材とクリヤー塗装の違い
1)浸透性吸水防止材
●浸透性吸水防止材とは
・タイルの目地に塗布することによって紫外線や雨水、排気ガス等から目地の劣化を防ぐことができる材料。
・目地の内部に浸透して防水層を形成。
●浸透性吸水防止材の特徴
〇浸透性
・モルタル目地内部への深い浸透性をし、目地に浸透して防水層を形成。
→防水層を形成することで雨水などの浸入を抑制。
〇意匠性
・乾燥後は無色透明なので、外観の変化は生じず、元のタイルの意匠性を維持することができる。
〇耐久性
・撥水性の効果の持続期間に限界がある。
2)クリヤー塗装との違い
・吸水防止材は目地内部に浸透して防水層を形成する構造であるのに対し、クリヤー塗装は表面に塗膜を形成して水を侵入しにくくする構造。
・クリヤー塗装の場合、全体を透明な塗膜で覆うが、見た目には艶が出て元のタイルとの印象は艶の影響で多少変わってしまう。
・クリヤー塗装は透明な塗料だが見た目に変化があり年数が経つと汚れなどが目立ってくる。
・汚れがつくと落とすことが難しくなり次回の改修の際に塗膜を剥がさなくてはならない場合もある。
※吸水防止材の場合は塗膜を剥がすといった作業が発生しないので次回の改修も特に問題なく施工ができる。
3)製品例
外壁タイル面 | 部位別 製品選びのチェックポイント | エスケー化研株式会社 – 建築用塗料・建築仕上材の総合メーカー
(3)外壁防水材
1)外壁防水材と外壁塗装(浸透性吸水防止材、クリヤー塗装)の違い
〇耐久性
・クリヤー塗装等は水を弾く性質はあるが、時間が経てばその性質は失われてしまう。
〇タイル面のひびわれ時の性能
・クリヤー塗装等はタイル面にひび割れ等が発生すると保護機能が失われてしまう。
2)外壁防水材の製品例
〇クリアプラス
〇セブンSS