寺院の基礎知識まとめました。
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- 仏堂、講堂
- 仏塔の種類
- 門の種類
- 寺院建築の要素 基壇、礎石、礎盤
- 寺院建築の要素 柱
- 寺院建築の要素 組物、斗栱
- 寺院建築の要素 垂木
- 寺院建築の要素 蟇股
- 寺院建築の要素 虹梁、木鼻、手挟
- 寺院建築の要素 瓦
- 寺院建築の要素 破風、妻飾、懸魚
- 高欄、欄間、窓
仏堂、講堂
●仏堂の概要
・仏像を安置し、礼拝供養するための建物。また信仰を開いた人物である”開山”や”祖師”を祀る場合もある。
・仏堂は1つの寺院内に多数建立される場合も多く、その性格、寺院内での位置、安置する仏像の名称などによって、さまざまな名称で呼ばれる。
●仏堂の種類
・本堂
日本の仏教寺院の中心堂宇としてもっとも一般的な名称。
・金堂(こんどう)
飛鳥時代から平安時代創建の寺院で多く使われている。
・天台宗では”中堂”、禅宗では”仏殿”と呼んでいる。
・その他、安置する仏像によって”釈迦堂”、”薬師堂”、”阿弥陀堂”、”観音堂”、”文殊堂”、”地蔵堂”などと呼ばれている。
●開祖を祀る堂、開山堂
・信仰の宗派や寺院を開いた僧侶を”開山”または”祖師”と呼び、それらの像を祀った堂の事を、開山堂、祖師堂(そしどう)、御影堂(みえいどう、ごえいどう)、影堂(えいどう)などと呼ぶ。
●講堂
・僧侶が経典の講義や仏教の教えを説き聞かせる説法を行うための建物。禅宗寺院では主に”法堂(はっとう)”と呼ばれる。
・通常、金堂の後ろに建てられる。
・仏像を安置し、礼拝供養するための建物。また信仰を開いた人物である”開山”や”祖師”を祀る場合もある。
・仏堂は1つの寺院内に多数建立される場合も多く、その性格、寺院内での位置、安置する仏像の名称などによって、さまざまな名称で呼ばれる。
●仏堂の種類
・本堂
日本の仏教寺院の中心堂宇としてもっとも一般的な名称。
・金堂(こんどう)
飛鳥時代から平安時代創建の寺院で多く使われている。
・天台宗では”中堂”、禅宗では”仏殿”と呼んでいる。
・その他、安置する仏像によって”釈迦堂”、”薬師堂”、”阿弥陀堂”、”観音堂”、”文殊堂”、”地蔵堂”などと呼ばれている。
●開祖を祀る堂、開山堂
・信仰の宗派や寺院を開いた僧侶を”開山”または”祖師”と呼び、それらの像を祀った堂の事を、開山堂、祖師堂(そしどう)、御影堂(みえいどう、ごえいどう)、影堂(えいどう)などと呼ぶ。
●講堂
・僧侶が経典の講義や仏教の教えを説き聞かせる説法を行うための建物。禅宗寺院では主に”法堂(はっとう)”と呼ばれる。
・通常、金堂の後ろに建てられる。
仏塔の種類
●仏塔の概要
・釈迦の遺骨である仏舎利を祀った塔を総称して”仏塔”といい、卒塔婆(そとば)とも呼ばれる。
・古代インドのストゥーパと呼ばれる仏塔が中国経由で日本に伝えられるうちに”卒塔婆”と音訳された。
●仏塔の種類
○層塔、多層塔
・三重塔や五重塔や多宝塔などのように2階建て以上の仏塔のこと。原則的には、奇数層となる。
裳階(もこし)と呼ばれる庇をつけた塔もあり、三重塔が一見六重塔に見える事もある。
・平面については、日本ではほとんどが四角形。
○多宝塔
平面が方形の初層の上に平面が円形の上層を重ね、宝形造(四角錐形)の屋根を有する塔。
○宝塔
円筒形の軸部(塔身)に平面方形の屋根をもつ一重塔。
・釈迦の遺骨である仏舎利を祀った塔を総称して”仏塔”といい、卒塔婆(そとば)とも呼ばれる。
・古代インドのストゥーパと呼ばれる仏塔が中国経由で日本に伝えられるうちに”卒塔婆”と音訳された。
●仏塔の種類
○層塔、多層塔
・三重塔や五重塔や多宝塔などのように2階建て以上の仏塔のこと。原則的には、奇数層となる。
裳階(もこし)と呼ばれる庇をつけた塔もあり、三重塔が一見六重塔に見える事もある。
・平面については、日本ではほとんどが四角形。
○多宝塔
平面が方形の初層の上に平面が円形の上層を重ね、宝形造(四角錐形)の屋根を有する塔。
○宝塔
円筒形の軸部(塔身)に平面方形の屋根をもつ一重塔。
門の種類
●単層(一階建て)の門
○八脚門(やつはしもん、はっきゃくもん)
・本柱四本の前後にそれぞれ控え柱が合わせて八本ある門。
・屋根は切妻造が一般的。
○四脚門(よつはしもん、しきゃくもん)
・太い二本の円柱の本柱の前後に控え柱を添えた門。
・屋根は切妻造が一般的。
○棟門(むなもん、むねもん)
・二本の柱とその上部を連結する冠木(かぶき)で,切妻造りの屋根を支えた平入りの門。
○唐門(からもん)
・屋根を中国的な曲線を描いた唐破風(からはふ)造りになっている門。極彩色に彩られている。
・正面に唐破風を見せる向(むかい)唐門と、妻側に唐破風をつける平(ひら)唐門とがある。
○薬医門
・2本の本柱の背後だけに控え柱を立て、切妻屋根をかけた門。
●重層(二階建て)の門
○二重門
・2階建てでそれぞれの階に屋根をかけた門。
・門の形式の中で最も格式が高く、規模が大きい。
・屋根は通常は入母屋造。
○楼門(ろうもん)
・2階建てで1重目には縁のみを持ち、最上重に屋根を持つ門。
・屋根は通常は入母屋造。
○八脚門(やつはしもん、はっきゃくもん)
・本柱四本の前後にそれぞれ控え柱が合わせて八本ある門。
・屋根は切妻造が一般的。
○四脚門(よつはしもん、しきゃくもん)
・太い二本の円柱の本柱の前後に控え柱を添えた門。
・屋根は切妻造が一般的。
○棟門(むなもん、むねもん)
・二本の柱とその上部を連結する冠木(かぶき)で,切妻造りの屋根を支えた平入りの門。
○唐門(からもん)
・屋根を中国的な曲線を描いた唐破風(からはふ)造りになっている門。極彩色に彩られている。
・正面に唐破風を見せる向(むかい)唐門と、妻側に唐破風をつける平(ひら)唐門とがある。
○薬医門
・2本の本柱の背後だけに控え柱を立て、切妻屋根をかけた門。
●重層(二階建て)の門
○二重門
・2階建てでそれぞれの階に屋根をかけた門。
・門の形式の中で最も格式が高く、規模が大きい。
・屋根は通常は入母屋造。
○楼門(ろうもん)
・2階建てで1重目には縁のみを持ち、最上重に屋根を持つ門。
・屋根は通常は入母屋造。
寺院建築の要素 基壇、礎石、礎盤
●基礎の概要
・建物の土台となる部分で構造物からの力を地盤に伝え、構造物を安全に支える機能をもつ。
・基壇、礎石、礎盤などの総称。
●基壇
・湿気を避けるために地盤の上に石積みをして高くした部分で、建物の台座の役目をする。
○壇上積
・整形した石を台状に組み立てて、石段と呼ばれる階段を設ける。
地盤面に地覆石(じふくいし)を並べ、上に葛石(かづらいし)、その間に束石(つかいし)が立ち、束石間に羽目石(はめいし)が入る。
・一重基壇と二重基壇がある。
○石垣積
・自然石をできる限り加工せずに台形状に積み上げる。
・自然石を不規則に積み上げた野面積(のづらづみ)と亀甲形(きっこうがた)に加工した石を積み上げた亀甲積などがある。
●礎石
・柱の下にのみ石を据える方法。
・初期は、柱の下部を地中に埋める掘立式で礎石も地中に埋められていたが、柱の下部の腐朽を防ぐため、地表に礎石を据えるようになった。
・ほとんど自然石のままのものから,ほぞをつくったりほぞ穴をあけたものまで,いろいろある。
●礎盤
・禅宗様では、柱の下にそろばんの玉を大きくしたような形の礎盤を床の上に置いた。
・建物の土台となる部分で構造物からの力を地盤に伝え、構造物を安全に支える機能をもつ。
・基壇、礎石、礎盤などの総称。
●基壇
・湿気を避けるために地盤の上に石積みをして高くした部分で、建物の台座の役目をする。
○壇上積
・整形した石を台状に組み立てて、石段と呼ばれる階段を設ける。
地盤面に地覆石(じふくいし)を並べ、上に葛石(かづらいし)、その間に束石(つかいし)が立ち、束石間に羽目石(はめいし)が入る。
・一重基壇と二重基壇がある。
○石垣積
・自然石をできる限り加工せずに台形状に積み上げる。
・自然石を不規則に積み上げた野面積(のづらづみ)と亀甲形(きっこうがた)に加工した石を積み上げた亀甲積などがある。
●礎石
・柱の下にのみ石を据える方法。
・初期は、柱の下部を地中に埋める掘立式で礎石も地中に埋められていたが、柱の下部の腐朽を防ぐため、地表に礎石を据えるようになった。
・ほとんど自然石のままのものから,ほぞをつくったりほぞ穴をあけたものまで,いろいろある。
●礎盤
・禅宗様では、柱の下にそろばんの玉を大きくしたような形の礎盤を床の上に置いた。
寺院建築の要素 柱
1)柱の概要
・建物の上部の重さを支える部材。
・柱は、円柱、四角柱、多角柱に大別される。
・材質としては、ヒノキ、ケヤキ、スギ、マツなどが使用されている。
1)円柱
・円柱、四角柱、多角柱の中で最も様々な意匠が凝らされる。
●飛鳥時代~平安初期、エンタシス
・中央部がゆるやかに膨らんだ円柱(エンタシス)。ギリシャの神殿建築の影響?
・法隆寺の金堂、中門、五重塔など。
●平安時代
・円筒状の柱で、最下部に蓮弁の台座の彫刻が施されている。
・平泉中尊寺の金堂など。
●鎌倉時代~
・禅宗様では、円柱の上下端近くで急に細くなっている”粽(ちまき)”という柱。
・天竺様(大仏様)では、円柱の上部のみが緩やかに細くなった粽もある。
●江戸時代
・円柱に何本もの縦溝を彫りこんだ柱。
断面が菊花型に彫られたものを胡麻殻決(ごまがらしゃくり)、星型を星芒形(せいぼうがた)と呼ぶ。
●来迎柱(らいごうばしら)
・浄土教の影響を受けて、柱に阿弥陀来迎図などをもとにした極彩色の装飾が施された。
2)角柱
・正方形の柱で、四隅の角の破損を防ぐため面取りが施される場合が多い。
・古いものほど面取りの幅が大きく、時代が下がるにつれて小さくなる。
3)多角柱
・円柱や角柱と比べると使用例は少ない。八角柱が多い。
・建物の上部の重さを支える部材。
・柱は、円柱、四角柱、多角柱に大別される。
・材質としては、ヒノキ、ケヤキ、スギ、マツなどが使用されている。
1)円柱
・円柱、四角柱、多角柱の中で最も様々な意匠が凝らされる。
●飛鳥時代~平安初期、エンタシス
・中央部がゆるやかに膨らんだ円柱(エンタシス)。ギリシャの神殿建築の影響?
・法隆寺の金堂、中門、五重塔など。
●平安時代
・円筒状の柱で、最下部に蓮弁の台座の彫刻が施されている。
・平泉中尊寺の金堂など。
●鎌倉時代~
・禅宗様では、円柱の上下端近くで急に細くなっている”粽(ちまき)”という柱。
・天竺様(大仏様)では、円柱の上部のみが緩やかに細くなった粽もある。
●江戸時代
・円柱に何本もの縦溝を彫りこんだ柱。
断面が菊花型に彫られたものを胡麻殻決(ごまがらしゃくり)、星型を星芒形(せいぼうがた)と呼ぶ。
●来迎柱(らいごうばしら)
・浄土教の影響を受けて、柱に阿弥陀来迎図などをもとにした極彩色の装飾が施された。
2)角柱
・正方形の柱で、四隅の角の破損を防ぐため面取りが施される場合が多い。
・古いものほど面取りの幅が大きく、時代が下がるにつれて小さくなる。
3)多角柱
・円柱や角柱と比べると使用例は少ない。八角柱が多い。
寺院建築の要素 組物、斗栱
●組物、斗栱(ときょう)とは?
・建物の柱の上にあって軒(屋根の端の、建物の外部に張り出た部分)を支えるものを組物、斗栱という。
・桁や肘木を受ける方形の斗(ます)と斗を受ける舟形の長い部材の肘木(栱)から構成される。
●斗(ます)
・斗には大きく、柱の直上に置かれる大斗(だいと)と、肘木の上に置かれる小型の巻斗(まきと)とがある。
●肘木(ひじき)
・単純な形式の舟肘木(ふなひじき)や装飾化した花肘木(はなひじき)がある。
●組物の概要
・垂木を支える先端の丸桁をより先に出し建築の軒を深くするため、組物は複雑化していった。
最も単純な柱の上に舟形の肘木を置くのみの舟肘木から、
柱上に大斗を置いて肘木を受ける大斗肘木の形式、
大斗の上の肘木に更に3箇の巻斗を載せる平三斗(ひらみつど)、
大斗上の肘木を十字に組み、壁面から直角に挺出した肘木の先端に斗を載せた出三斗(でみつど)と
複雑化していき、更に発展させたものが出組(でぐみ)となる。
・組物が一段張り出したものを”一手先(ひとてさき)”、二段張り出したものを二手先(ふたてさき)といい、七手先に至るまで組むものもある。
・組物とともに軒先で目に付くものとして”尾垂木”、”丸桁”、”支輪”がある。
○尾垂木
垂木がひときわ長く突き出して象牙のようになったもの。
○丸桁
組物の先端で軒先を支える水平材。
○支輪
・壁面から軒天井に斜めに立ち上がる部分で、二つの梁を連結。
・時代によって形状が異なるが徐々に曲率が増し、装飾が増えていった。
・建物の柱の上にあって軒(屋根の端の、建物の外部に張り出た部分)を支えるものを組物、斗栱という。
・桁や肘木を受ける方形の斗(ます)と斗を受ける舟形の長い部材の肘木(栱)から構成される。
●斗(ます)
・斗には大きく、柱の直上に置かれる大斗(だいと)と、肘木の上に置かれる小型の巻斗(まきと)とがある。
●肘木(ひじき)
・単純な形式の舟肘木(ふなひじき)や装飾化した花肘木(はなひじき)がある。
●組物の概要
・垂木を支える先端の丸桁をより先に出し建築の軒を深くするため、組物は複雑化していった。
最も単純な柱の上に舟形の肘木を置くのみの舟肘木から、
柱上に大斗を置いて肘木を受ける大斗肘木の形式、
大斗の上の肘木に更に3箇の巻斗を載せる平三斗(ひらみつど)、
大斗上の肘木を十字に組み、壁面から直角に挺出した肘木の先端に斗を載せた出三斗(でみつど)と
複雑化していき、更に発展させたものが出組(でぐみ)となる。
・組物が一段張り出したものを”一手先(ひとてさき)”、二段張り出したものを二手先(ふたてさき)といい、七手先に至るまで組むものもある。
・組物とともに軒先で目に付くものとして”尾垂木”、”丸桁”、”支輪”がある。
○尾垂木
垂木がひときわ長く突き出して象牙のようになったもの。
○丸桁
組物の先端で軒先を支える水平材。
○支輪
・壁面から軒天井に斜めに立ち上がる部分で、二つの梁を連結。
・時代によって形状が異なるが徐々に曲率が増し、装飾が増えていった。
寺院建築の要素 垂木
●垂木の概要
・屋根の軒を支える部材を”垂木”という。
・軒を見上げた際、垂木が何段並んでいるかによって、一軒(ひとのき)、二軒(ふたのき)、三軒(みのき)と分けて呼ぶ。
・飛鳥時代の古い形式では一軒だが、一般的には二軒が使用される。
●垂木の並べ方の種類
・繁垂木(しげたるき)
垂木の幅や高さを同じ間隔で並べたもの。
・半繁垂木(はんしげたるき)
垂木一本分の間隔を空けて並べたもの。
・疎垂木(まばらたるき)
半繁垂木よりさらに間隔を広げて並べたもの。
・吹寄垂木(ふきよせたるき)
二本ずつ組にして間隔を空けて並べたもの。
・扇垂木(おうぎたるき)
建物の中央から外側に放射状に並べたもの。主に禅宗様で使用される。
・輪垂木(わたるき)
ドーム型の屋根の内側に半円形の垂木を並べたもの。唐破風や黄檗宗(おうばくしゅう)の寺院で使用される。
・屋根の軒を支える部材を”垂木”という。
・軒を見上げた際、垂木が何段並んでいるかによって、一軒(ひとのき)、二軒(ふたのき)、三軒(みのき)と分けて呼ぶ。
・飛鳥時代の古い形式では一軒だが、一般的には二軒が使用される。
●垂木の並べ方の種類
・繁垂木(しげたるき)
垂木の幅や高さを同じ間隔で並べたもの。
・半繁垂木(はんしげたるき)
垂木一本分の間隔を空けて並べたもの。
・疎垂木(まばらたるき)
半繁垂木よりさらに間隔を広げて並べたもの。
・吹寄垂木(ふきよせたるき)
二本ずつ組にして間隔を空けて並べたもの。
・扇垂木(おうぎたるき)
建物の中央から外側に放射状に並べたもの。主に禅宗様で使用される。
・輪垂木(わたるき)
ドーム型の屋根の内側に半円形の垂木を並べたもの。唐破風や黄檗宗(おうばくしゅう)の寺院で使用される。
寺院建築の要素 蟇股
●蟇股の概要
・組物とともに上部の重さを支える部材で、梁などの水平材の間を支える。
・蛙が後ろ足を広げたような形をしていることからこのように命名された。
・時代によって様々な種類があり、時代が進むにつれて彫刻や装飾がより複雑化している。
●蟇股の種類
・板蟇股
三角形の厚板に雲型の切込みを入れた簡素なもの。
・透かし蟇股
左右対称の二つの材を組み合わせており、中を刳り抜き透かしたもの。
・くり抜き蟇股
板蟇股の中央部をくりぬいたもので、水平材を支える役割は薄れ、装飾の役割が強くなっている。
参考サイト
http://www.geocities.jp/nishimotochoukoku/008kaerumata01.htm
・組物とともに上部の重さを支える部材で、梁などの水平材の間を支える。
・蛙が後ろ足を広げたような形をしていることからこのように命名された。
・時代によって様々な種類があり、時代が進むにつれて彫刻や装飾がより複雑化している。
●蟇股の種類
・板蟇股
三角形の厚板に雲型の切込みを入れた簡素なもの。
・透かし蟇股
左右対称の二つの材を組み合わせており、中を刳り抜き透かしたもの。
・くり抜き蟇股
板蟇股の中央部をくりぬいたもので、水平材を支える役割は薄れ、装飾の役割が強くなっている。
参考サイト
http://www.geocities.jp/nishimotochoukoku/008kaerumata01.htm
寺院建築の要素 虹梁、木鼻、手挟
●虹梁(こうりょう)
・建物内部の柱間に渡した虹形に上方にそり返った梁。最下部など下から見えるところに使用する。
・時代が下がると次第に装飾的になり、彫刻が施されるようになる。
・室町時代以降は複雑な彫刻が施されるようになり、梁自体中央の丸みは次第になくなって直線化する。
・江戸時代には両端を丸くするだけで虹梁本体は水平になる。
●木鼻(きばな)
・虹梁などの梁の両端が柱から突き出した部分に彫刻などの装飾を施したものを”木鼻”という。
・構造上の役割ではなく、建物の荘厳さを高めるもの。
・彫刻などによっておおよその時代が判別できる。
1)大仏様、和様
①平安~鎌倉時代
・梁から突き出した部分を三角形にし、その斜めの部分に雲型の切込みを入れた簡単なもの。
②鎌倉時代後期
・上下、中央に雲形の切込みを入れたようなものが見られる。
③室町時代
・象の鼻のように仕上げたもの(象鼻様)が見られる。
④桃山時代
・象、竜、獅子、獏などの獣の顔をあらわすようになる。
⑤江戸時代
・獣面がさらに写実的になって彫刻も丸みを帯びてくる。
・木鼻を別に作って後から柱に取り付ける”掛鼻”も登場する。
2)禅宗様
①鎌倉時代
・渦巻きのみを彫ったもの。
②室町時代
・渦巻きに植物の葉などを装飾的にあしらった唐草模様など。
③桃山時代
・木鼻全体が細く華奢な造り。
・万年青(おもと)などの図柄が登場。
④江戸時代
・牡丹や菊などの様々な図柄があしらわれるようになる。
●手挟(たばさみ)
・軒の勾配によって生じた三角形の隙間を埋めて安定感を与える部材。
・補強の役割もあるが彫刻を施して装飾的な意味合いが強くなっている。
・時代とともに華美になり、繊細な彫刻が施されるようになる。
・建物内部の柱間に渡した虹形に上方にそり返った梁。最下部など下から見えるところに使用する。
・時代が下がると次第に装飾的になり、彫刻が施されるようになる。
・室町時代以降は複雑な彫刻が施されるようになり、梁自体中央の丸みは次第になくなって直線化する。
・江戸時代には両端を丸くするだけで虹梁本体は水平になる。
●木鼻(きばな)
・虹梁などの梁の両端が柱から突き出した部分に彫刻などの装飾を施したものを”木鼻”という。
・構造上の役割ではなく、建物の荘厳さを高めるもの。
・彫刻などによっておおよその時代が判別できる。
1)大仏様、和様
①平安~鎌倉時代
・梁から突き出した部分を三角形にし、その斜めの部分に雲型の切込みを入れた簡単なもの。
②鎌倉時代後期
・上下、中央に雲形の切込みを入れたようなものが見られる。
③室町時代
・象の鼻のように仕上げたもの(象鼻様)が見られる。
④桃山時代
・象、竜、獅子、獏などの獣の顔をあらわすようになる。
⑤江戸時代
・獣面がさらに写実的になって彫刻も丸みを帯びてくる。
・木鼻を別に作って後から柱に取り付ける”掛鼻”も登場する。
2)禅宗様
①鎌倉時代
・渦巻きのみを彫ったもの。
②室町時代
・渦巻きに植物の葉などを装飾的にあしらった唐草模様など。
③桃山時代
・木鼻全体が細く華奢な造り。
・万年青(おもと)などの図柄が登場。
④江戸時代
・牡丹や菊などの様々な図柄があしらわれるようになる。
●手挟(たばさみ)
・軒の勾配によって生じた三角形の隙間を埋めて安定感を与える部材。
・補強の役割もあるが彫刻を施して装飾的な意味合いが強くなっている。
・時代とともに華美になり、繊細な彫刻が施されるようになる。
寺院建築の要素 瓦
●瓦の概要
・6世紀中ごろ大陸から伝わった屋根葺材料で、ほとんどの寺院建築で使用されている。
●瓦の基本構造の時代推移
○初期、本瓦葺
・”本瓦葺”といわれ、緩やかな曲線を持つ平瓦と、その継ぎ目を埋める丸瓦を組み合わせて葺く。
・丸瓦の軒先の先端部分には唐草模様のなどの意匠が施されるが、これを”瓦当(がとう)”と呼ぶ。
○平安時代、行基瓦
・丸瓦の片方を細くした”行基瓦(ぎょうきがわら)”というものがあらわれた。奈良時代の僧、行基に由来する名前。
・細い方を上に向けて丸瓦を積み上げていくもので、幾つもの半円形が重なって見える。
○~室町時代
・本瓦葺と行基瓦の工法が用いられる。
○江戸時代
・平瓦と丸瓦を結合して一枚に焼き上げた”桟瓦”を使用。通常の本瓦よりも軽量にできる。
●役瓦
・棟、軒、など屋根の特殊な部位に用いる瓦で、鬼瓦、鴟尾などがある。
○鴟尾(しび)
・瓦葺屋根の大棟の両端につけられる飾りの一種。
・沓(くつ)に似ていることから沓形(くつがた)とも呼ばれる。
・火除けのまじないにしたといわれている。
○鬼瓦
・棟の末端に付ける雨仕舞いの役割を兼ねた装飾瓦。
・同様の役割を持つ植物性や石、金属などの材料で葺かれた屋根に用いられるものを”鬼板”という。
○獅子口
・棟の両端に置く瓦で、山形の綾筋(あやすじ)があり、上方に経の巻(きょうのまき)と称する丸瓦3個をつけたもの。
・6世紀中ごろ大陸から伝わった屋根葺材料で、ほとんどの寺院建築で使用されている。
●瓦の基本構造の時代推移
○初期、本瓦葺
・”本瓦葺”といわれ、緩やかな曲線を持つ平瓦と、その継ぎ目を埋める丸瓦を組み合わせて葺く。
・丸瓦の軒先の先端部分には唐草模様のなどの意匠が施されるが、これを”瓦当(がとう)”と呼ぶ。
○平安時代、行基瓦
・丸瓦の片方を細くした”行基瓦(ぎょうきがわら)”というものがあらわれた。奈良時代の僧、行基に由来する名前。
・細い方を上に向けて丸瓦を積み上げていくもので、幾つもの半円形が重なって見える。
○~室町時代
・本瓦葺と行基瓦の工法が用いられる。
○江戸時代
・平瓦と丸瓦を結合して一枚に焼き上げた”桟瓦”を使用。通常の本瓦よりも軽量にできる。
●役瓦
・棟、軒、など屋根の特殊な部位に用いる瓦で、鬼瓦、鴟尾などがある。
○鴟尾(しび)
・瓦葺屋根の大棟の両端につけられる飾りの一種。
・沓(くつ)に似ていることから沓形(くつがた)とも呼ばれる。
・火除けのまじないにしたといわれている。
○鬼瓦
・棟の末端に付ける雨仕舞いの役割を兼ねた装飾瓦。
・同様の役割を持つ植物性や石、金属などの材料で葺かれた屋根に用いられるものを”鬼板”という。
○獅子口
・棟の両端に置く瓦で、山形の綾筋(あやすじ)があり、上方に経の巻(きょうのまき)と称する丸瓦3個をつけたもの。
寺院建築の要素 破風、妻飾、懸魚
1)破風
●破風の概要
・切妻造、入母屋造の屋根の妻側(側面)の三角形の部分。
・寺院、神社で用いられ、各時代で特徴がある。
●破風の種類
・山形破風
反りのない破風板を利用した単純な形状。
・千鳥破風
破風板の両側に反りをつけた形状。
・唐破風
破風の中央が椀型に盛り上がった形状。
2)妻飾(つまかざり)
●妻飾の概要
・切妻造または入母屋造の屋根の妻部分(側面の三角形の壁面)の装飾。
●主な妻飾
○竪横式
・垂直材と水平材を組み合わせた単純なもの。
○豕叉首(いのこさす)
・梁の上に材を合掌形に組み,その中間に束(つか)を立てたもの。
○虹梁蟇股(こうりょうかえるまた)式
・妻側の虹梁の上に蟇股のような部材を載せたもの。
○二重虹梁蟇股式
・大きな大虹梁の上に蟇股を二つ置き、その上に小虹梁を置いて、さらに蟇股を置く。
○虹梁大瓶束(コウリョウタイヘイヅカ)
・妻側の虹梁の上に大瓶束という徳利形の部材を載せたもの。禅宗様。
○狐格子(キツネゴウシ)
・細い角材を縦横に組み合わせて細かい格子にしてある。入母屋屋根によく用いる。
3)懸魚(げぎょ)
●懸魚の概要
・破風板の下に装飾を目的として付けられる彫刻を施した板のこと。
・妻に出た棟木などの木口(切断面)を隠す、腐朽しやすい木口を保護する目的もある。
・破風の合掌(頂点に当たる部分)に拝懸魚(おがみげぎょ)、屋根の下部にあって桁を隠すものを降懸魚(くだりげぎょ)が用いられる。
●形による分類
○猪の目懸魚(いのめげぎょ)
・ハート型や瓢箪型などの曲線的な穴が開けられたもの。
○蕪懸魚(かぶらげぎょ)
・蕪(かぶ)のような形状の下垂れの部分に人の字型の筋彫刻を施したもの。
○三ツ花懸魚(みつばなげぎょ)
・下と左右方向に同形状の彫刻を突出させたもの。三ツ花蕪懸魚や三ツ花猪の目懸魚といったものがある。
○梅鉢懸魚(うめばちげぎょ)
・六角形の梅花形をしたもの。
●破風の概要
・切妻造、入母屋造の屋根の妻側(側面)の三角形の部分。
・寺院、神社で用いられ、各時代で特徴がある。
●破風の種類
・山形破風
反りのない破風板を利用した単純な形状。
・千鳥破風
破風板の両側に反りをつけた形状。
・唐破風
破風の中央が椀型に盛り上がった形状。
2)妻飾(つまかざり)
●妻飾の概要
・切妻造または入母屋造の屋根の妻部分(側面の三角形の壁面)の装飾。
●主な妻飾
○竪横式
・垂直材と水平材を組み合わせた単純なもの。
○豕叉首(いのこさす)
・梁の上に材を合掌形に組み,その中間に束(つか)を立てたもの。
○虹梁蟇股(こうりょうかえるまた)式
・妻側の虹梁の上に蟇股のような部材を載せたもの。
○二重虹梁蟇股式
・大きな大虹梁の上に蟇股を二つ置き、その上に小虹梁を置いて、さらに蟇股を置く。
○虹梁大瓶束(コウリョウタイヘイヅカ)
・妻側の虹梁の上に大瓶束という徳利形の部材を載せたもの。禅宗様。
○狐格子(キツネゴウシ)
・細い角材を縦横に組み合わせて細かい格子にしてある。入母屋屋根によく用いる。
3)懸魚(げぎょ)
●懸魚の概要
・破風板の下に装飾を目的として付けられる彫刻を施した板のこと。
・妻に出た棟木などの木口(切断面)を隠す、腐朽しやすい木口を保護する目的もある。
・破風の合掌(頂点に当たる部分)に拝懸魚(おがみげぎょ)、屋根の下部にあって桁を隠すものを降懸魚(くだりげぎょ)が用いられる。
●形による分類
○猪の目懸魚(いのめげぎょ)
・ハート型や瓢箪型などの曲線的な穴が開けられたもの。
○蕪懸魚(かぶらげぎょ)
・蕪(かぶ)のような形状の下垂れの部分に人の字型の筋彫刻を施したもの。
○三ツ花懸魚(みつばなげぎょ)
・下と左右方向に同形状の彫刻を突出させたもの。三ツ花蕪懸魚や三ツ花猪の目懸魚といったものがある。
○梅鉢懸魚(うめばちげぎょ)
・六角形の梅花形をしたもの。
高欄、欄間、窓
●高欄(こうらん)
・縁や階段に取り付けられる欄干や手摺りのこと。
・人目につきやすいところにあるため、装飾が施された。
○組高欄(くみこうらん)
水平材が角で交わり、その先端が角状に突出。
○擬宝珠高欄(ぎぼしこうらん)
親柱(水平材が交わる隅に位置する柱)に宝珠を載せたもの。
●欄間(らんま)
・採光、通風、装飾といった目的のために天井と鴨居との間に設けられる開口部材。
○格子欄間
・初期の主流。
・欄間に格子をはめ込んだもの。
・竪横格子、菱格子、吹寄格子など
○竹の節欄間
・鎌倉時代に登場。
・竹の節のような切れ込みをつけた小柱の上下に横木を渡し,中をたすきがけの桟で埋めたもの。
○筬(おさ)欄間
・室町時代に普及。
・縦の桟(さん)を細かく、横桟は中央に三筋、上下に各一筋ほど入れた欄間。
○彫刻欄間
・桃山時代~江戸時代初期に最盛期
・欄間の中に花鳥風月などの彫刻をほどこしたもの。
●窓
○連子窓(れんじまど)
連子格子を取付けた窓。
四角の窓枠のなかに縦あるいは横に,方形(あるいは菱形)断面の棒(連子子) を,その稜を正面に向けて並べたもの。
○花頭窓、火頭窓(かとうまど)
鎌倉時代に中国から禅宗建築が導入された際にもたらされた中国系の尖頭アーチ型の窓をさしたが,のちに数寄屋建築に取入れられて,琴柱の形をしたもの,頂部が円弧のものなど趣向を凝らしたものが作られた。
○丸窓
江戸時代に黄檗宗(おうばくしゅう)とともに伝わり、黄檗宗の寺院に用いられた。
○花狭間(はなはざま)
格子窓の格子の組子に、花模様の透かし彫りを施したもの。
・縁や階段に取り付けられる欄干や手摺りのこと。
・人目につきやすいところにあるため、装飾が施された。
○組高欄(くみこうらん)
水平材が角で交わり、その先端が角状に突出。
○擬宝珠高欄(ぎぼしこうらん)
親柱(水平材が交わる隅に位置する柱)に宝珠を載せたもの。
●欄間(らんま)
・採光、通風、装飾といった目的のために天井と鴨居との間に設けられる開口部材。
○格子欄間
・初期の主流。
・欄間に格子をはめ込んだもの。
・竪横格子、菱格子、吹寄格子など
○竹の節欄間
・鎌倉時代に登場。
・竹の節のような切れ込みをつけた小柱の上下に横木を渡し,中をたすきがけの桟で埋めたもの。
○筬(おさ)欄間
・室町時代に普及。
・縦の桟(さん)を細かく、横桟は中央に三筋、上下に各一筋ほど入れた欄間。
○彫刻欄間
・桃山時代~江戸時代初期に最盛期
・欄間の中に花鳥風月などの彫刻をほどこしたもの。
●窓
○連子窓(れんじまど)
連子格子を取付けた窓。
四角の窓枠のなかに縦あるいは横に,方形(あるいは菱形)断面の棒(連子子) を,その稜を正面に向けて並べたもの。
○花頭窓、火頭窓(かとうまど)
鎌倉時代に中国から禅宗建築が導入された際にもたらされた中国系の尖頭アーチ型の窓をさしたが,のちに数寄屋建築に取入れられて,琴柱の形をしたもの,頂部が円弧のものなど趣向を凝らしたものが作られた。
○丸窓
江戸時代に黄檗宗(おうばくしゅう)とともに伝わり、黄檗宗の寺院に用いられた。
○花狭間(はなはざま)
格子窓の格子の組子に、花模様の透かし彫りを施したもの。